2009年11月アーカイブ

体と心と脳をいやすタンゴセラピー 

ttp://www.nikkeibp.co.jp/ecomom/report/report_175.html りBlogしました。

スペシャルリポート


体と心と脳をいやすタンゴセラピー

そもそもタンゴとは?


 タンゴは19世紀の終わり頃アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの港町ボカ地区から始まりました。ヨーロッパからの移民が盛んだった当時、貧しい移民たちのたむろ場がボカ地区でした。彼らが異国での寂しさやうっせきするやりきれなさを吐き出すように踊り始めたのがそもそものタンゴの始まりだといわれています。現在ではタンゴは基本的に男女がペアを組みますが当時は酒場にいた男性同士で踊られていたんですよ。

「タンゴ」についてどれくらいご存知ですか? タンゴというと情熱的で複雑なステップといった激しいイメージを持たれている人も多いかもしれません。けれどその激しい様相はタンゴの一面に過ぎず、計り知れない体と心への効能が最近の研究でわかっています。そしてそのタンゴの効能を活かして「タンゴセラピー」「タンゴゼン(禅)」なんて取り組みもうまれています。

 それではセラピーとしても活かされているタンゴの特徴、効能とは一体どんなものなのでしょう?

まずは身体的な効能から

 例えば「タンゴを踊ると後ろ姿が美しくなる」といわれますがそれは踊るときのポステュラ(姿勢)の恩恵。タンゴでは「おへそから頭のてっぺんまで一本の糸をイメージしその糸が天井から吊り上げられたように」姿勢を伸ばします。そうすることで自分のからだの中心軸をぶらさずにステップを踏むことができるからです。背中に意識がいきます。キレイになるのもうなずけますね。
 踊る姿の美しさを保つための秘訣は「おしりの穴を閉める」こと。おしりの穴を閉めると骨盤が締まりヒップの形がきれいになる、くびれができるなどは皆さんもご存知ですよね。この肛門締めは劇団やボイストレーニング、産後の失禁防止でも効能が認識され活用されている方法ですがタンゴも例外ではありません。
 またタンゴでの女性の動きは基本的に後ろ向き。脚を後ろにスーっと伸ばすことで普段意識しない筋肉がしなやかに鍛えられます。
 タンゴを踊り始めると自然とかっこいいプロポーションになるのはこういった有酸素運動の賜物なんですね。

精神的な効能は?

私自身も週に1度はミロンガに行きますがタンゴを踊ると身体だけでなく心や脳が喜んでいるのがわかります。爽快感や開放感に包まれ「自分とのつながり」がそこにあるというか、タンゴが精神にもたらす恵みの大きさを個人的にも実感しています。それでは一体タンゴの何がセラピー効果を生んでいるのでしょうか?

 まずは「アブラソ(抱擁)」。女性は左手を男性の肩に置き右手は男性と手を握ります。そして男性の左手は女性の背中にまわされます。包まれる感触や体を触れ合うことが精神に及ぼす好影響は皆さんも体験済みかと思います。

 このアブラソを通して音楽・時間の流れ・パートナーに自分をゆだねますが、この自分をゆだねる行為というのは日常生活では意外と少ないものです。自己解放感や自分の内側とのつながりが触発されます。

 アブラソが作り出す限られた接点からお互いの意図を汲み取りながら踊りが続きますが、この言葉を使わないコミュニケーションがいざなってくれる世界は一種の開放感と満足感に満ち溢れています。

家族、友達、自分自身を思いやる

 タンゴでは決まったステップはありません。音楽に合わせて男性が即興で女性にステップをマルカ(指示)し、女性がそのマルカに応えながら二人の世界を作りあげていくのです。その即興に応じるには、女性が体重移動のときに自分の軸をぶらすことなくバランスを保っている必要があります。なんだか夫婦のやりとりにも似ていませんか?


 そしてタンゴのリズム。タンゴは「内に向かう音楽」と表現されるようにその拍子のために意識が「内へ」入っていきやすいのです。リズムに気持ちをゆだねると心にひっかかっている懸念が一度自分の心の奥までいき、消化され、不要物が外に放出されるような感覚がもたらされます。タンゴ音楽の拍子は自分の内側とのつながりをもたらす環境を作りだします。


 効能はまだあります。タンゴセラピーと呼ばれるクラスでは男女の役割を交代させる、つまり女性が男性のリード役を男性が女性の受身役も行います。このロールプレイはカウンセリングにも活用されているように共感的理解を得やすくし、合意形成や他者受容などの能力を高めるといわれています。タンゴを踊ることで家族を、友達を、自分自身を思いやる大切さを思い出したという人も多いようです。


Shall we Tango?


ブエノスアイレスではさすがタンゴ発祥の地といわんばかりに朝から朝まで(どの時間帯でも)どこかしらでタンゴが踊られています。


 タンゴを踊る社交場ミロンガにはタンゴこそ我が人生だと語る70歳を過ぎたおじいちゃんから気分転換がてらのOL、仕事の後のミロンガでストレス解消というおじさん、時間がとれる昼間だけ顔をだすママなど顔ぶれは様々。年代も職業も違う人たちがタンゴへの情熱を介して空間と時間を共有する、なんだか不思議でとっても新鮮な世界がそこにあります。

 旗目に見る複雑なステップからは意外かもしれないですが「タンゴはパウサ(一時静止)を楽しみきるもの」といわれ、走り続ける私たちの日常生活に「一時停止」の重要さを思い出させてくれる役目も果たしてくれます。


 アブラソのやり方もこれが正解などというものはなく、パートナーのリードを自分が一番心地よく感じられるポジションがとれれば、それが上出来だと理解します。自分のスタイルを自信をもって作っていけ、とのメッセージだと私は解釈しています。


 そういったタンゴ哲学は人生の真髄とも相通じ、普段の生活に応用できます。体がしなやかになり、心が元気になり、脳が知的に刺激される。それらの効能が享受できるタンゴワールド。一度試されてはいかがでしょうか? 


Shall we tango?


(2009年6月26日)

 
Gyu and Mai were demonstrated at Cuban cafe special on 24 Nov 2008.

Music: Chiei Kobayshi(G) and Kiyomi Ogawa (Bn)